裂く女

 PCの日本語変換機能が今よりも数段バカだったその昔、「笑える娯変換のぺえじ(閉鎖済?)」なるものがあった。

 例えば、工学部を出ている人間なら言葉くらいは覚えている「波動方程式」、これが「波動砲停止機」に変換されてたりして、一体、何に使うんだ?というツッコミもあり、なかなか笑わせてもらった。

 今ではPCも携帯も日本語変換の辞書が充実し、ユーザのクセを学習する機能などもあって、マヌケな誤変換は減りつつある…。減りつつあるのだが、使っている人のクセを学習する機能は、時に余計なお世話となり、新たなる悲劇×喜劇を生む。

 今、仕事で使っているPC、このPCの前のユーザがどんな人だったのか、知るすべもないし、興味もない。が、杉蔵とはあまりにも使っている言葉が違うようで、仕事中の忙しい時にマヌケな誤変換でイライラを倍増させてくれたりしている。

 例えば、DBを扱う人間にはお馴染みの「カラム名」という単語、忙しい時に限って「絡む姪」と変換してくれる。これは何か? うちの兄貴夫婦に娘が生まれ、十数年後、酒を飲むようになり、叔父の杉蔵に向かって「ねぇ、叔父さん~ お小遣いちょうだいよ~と絡むようになるとでもいうのか?

 また、書類でデータの削除関連の部分を書いている時に「削除~と入れて変換すると、これまた忙しい時に限って「裂く女~という変換結果…。えーと、Compaq君、君の前のユーザの趣味は知らないが…今のユーザである杉蔵に限っては、そんなS系の趣味はないんだから、いい加減、覚えてね…。